2話です!
1話の記事、大変な勢いで煌めきをヒロめて頂いてありがとうございました。お褒めの声をたくさん頂けて嬉しかったです。
その分やる気と責任感も湧いてきたので、毎週しっかり書かせて頂こうと思います!ファンの方々のお眼鏡に適うものを書き続けられるよう頑張ります…!
2話は「『あんスタ』らしさが出てくる」と聞いていたので楽しみにしていたのですが、「なるほどこれが"らしさ"か」という印象に。
早速感想書かせて頂きます。どうぞどうぞ。
爆発し始めたキャラクターの個性
1話の分かりやすいキャラクター達とは打って変わって、2話に登場するキャラはなかなか個性的で色の強い面子が揃っていたように感じました。
いきなり登場する魔法陣くんと突然の増田俊樹で「今週は何か起きるな」感が満載(ただし魔法陣くんの出番は最初しかなかった)転校生ちゃん、作画角度的には迂回せずに普通に魔法陣を踏み越えて行ったように見えるのだが大丈夫だったんだろうか。また酷い目に遭うんじゃ…。
キャラクターの作りとしては、基本的には実力や年齢が下の者に可愛い系の属性が与えられ、上の者にカッコイイ系の属性が与えられるという形で、分かりやすさや取っ付きやすさを演出しているように感じられます。
見た目でそういった差が感じられるようなデザインなのも良いですね。今のところは「こいつとこいつが同い年(同格)なんだ?」というような、アニメでよくある設定上のイメージ落差があまり感じられない辺りが丁寧だと思いました。
そういう意味でもキャラとして今回特筆すべきはやはり、圧倒的存在感を放った三奇人の1人 朔間零さんでしょう。神浜コウジみたいな見た目で速水ヒロ(暗黒期)みたいな表情した仁科カヅキの声の人がいる…。
三奇人の名に相応しく分かりやすく"奇人"。棺桶で眠る一人称我輩。なんだこいつ。でも寝起きで水飲んでる辺り普通の人だ。「身体の奥まで沁み渡るのう…」分かる。普通の寝起きだそれ。大道具の中でお昼寝してる人だ。それ含めて奇人かもしれない。そして軽音部=変人の集まりという偏見はよせ(元軽音部の心の叫び)
2話にしていきなり柿原徹也、前野智昭、増田俊樹、菱田正和が一同に揃ってしまい分かりやすく混乱しました。頭がおかしくなりそう。森久保祥太郎と斉藤壮馬もいる…。これは…何だろう…。
Trickstarのライブシーンでは、大神くん含めて、軽音部の面々はちゃんとノッてくれてて「性根は良い人達なんだろう」というのが伝わってくるのが良かったですね。特に双子くんはノリノリで印象が良い。こっちの増田俊樹もやっぱり良い人じゃないか。でも全員女の子には優しくしようね。
キャラが多い作品の場合、アニメでは恐らく原作に存在する全キャラの台詞をしっかり映像化することはできないはずなので、映り込んだ1カットからキャラ性が伝わってくるかが重要なポイントに。そういった細やかな演出への気配りは、監督の手腕によるところも大きいのではないかなと。
音楽を的確に用いた進行
アニメの作りとして2話で特徴的なのは、やるべきことや映像化すべき内容が多い中でしっかり音楽(ライブシーン)に尺を割いていることだと思います。
様々な表現ジャンルの中で音楽は最も短時間で人の心を大きく動かすことが可能なものの1つであり、物語においても効果的に扱うことで気持ちの動きに説得力を付与することができます。
しかし1話の尺が短く定められたアニメでは、曲に数分の時間を割くということは諸刃の剣でもあります。その分「話が何も進行しない時間がある」ということにもなるので。
『あんスタ』は音楽が中心にあるコンテンツですから、やはりライブ演出に力を入れてほしいというファン心理もあると思いますし、曲が流れるシーンが多いに越したことはないでしょう。
アニメ的な制約や限界がある中で音楽をどう扱うか。これが1つ作品の成功の鍵を握っていると思います。
その点でも2話は、分かりやすくまとまっていて良かったのではないでしょうか。
Trickstarのライブは短時間で奇人と転校生ちゃんの心を動かし、ストーリーを一気に進めるためのキーとして的確でしたし、その後の紅月の堂々たるライブは、2話ではほぼ台詞がなかったはずの彼らの存在感をより確かなものにして行きました。
更に言うとTrickstarは3人で合わせる振り付けが中心なのにも関わらず、それが微妙に全員ズレていて実力不足を感じさせる作画。対して、紅月はそれぞれが個性を発揮する振り付けが多い中で、合わせるところはピッタリ合ってくるなど、明らかなクオリティの差を感じさせる内容に。
比較的に見て、それぞれの立ち位置や実力をより強く感じられるように演出が練られていて、音楽シーンを無駄なく使ってキャラや物語の関係性を少しでも多く視聴者に伝えようとしているのが分かりました。
この辺りの映像や展開のバランスは、やはり音楽を効果的に取り入れてストーリーの盛り上がりを構成する作品に深く関わってきた、菱田監督の采配が功を奏している部分だと言って良いと思います。
必要なところをしっかり見極め、音楽を物語の一部に落とし込む力は、長年の積み重ねが為せる技ではないでしょうか。
…ところで紅月のライブシーンは元々ああいう演出ですか?
原作でも塔が割れるんですか?想像してたよりトンチキな演出の作品なんですね。ドカーン!
細かいカメラワークや場転演出はどうしても「これは菱田の手癖では…」と思えてしまうところがチラホラあるのですが、実際どこまでが原作準拠か分からないので、あまり「これは菱田!」と言うのもどうかと思っています。
「違うんです(多分)あなたのとこの監督のせいなんです」ということがあれば是非教えてほしいです!!
彼らが戦うべきもの
2話のいわゆる「『あんスタ』らしさ」というのは後半の紫之創くん達のシーンのことだと思うので、ここについてはこの項で抜き出して感想を。
お金を貯めて立った初めてのステージで自分達の前でごっそりお客さんがいなくなってしまうという悲劇。良いシーンでした。
一瞬だけ流れた彼らのライブシーンは、Trickstarと比較してもキレもありバッチリ振りが合っていて完成度の高さが伺えます。たった一瞬でしたが、2話の全体構成として彼らの努力がエピソードにしっかり組み込まれているし、よく見れば伝わるように創られていましたね。それがより悲劇的な色を強めている。
絶望的な光景にショックを受ける明星くんもポイント。
ライブが終わってもその場を離れることなく、自分が直面したわけでもない理不尽について深く苦悩する姿から、彼の実直さが伝わってくるのも良かったです。そしてその状況が彼の心情変化をより分かりやすいものにしてくれている。短い時間でスパッと話の流れが決まるスマートな流れです。
ただ、それ故に下級生たる彼らの未熟さが伝わってくるシーンでもありました。
理不尽との戦い
確かに「上位の者からライブをする」という仕組みは、下位の者にチャンスを与えないことに繋がるため、その部分だけ切り取って見れば理不尽極まりない体制です。改善すべきでしょう。
しかしながら、仮にお客さんがいる前でライブをしたとして、あの紅月しか眼中にない観客が紫之くん達のユニットに「興味を持ったか」と言われると、そうではないのではないかと思います。
人前に立ってエンターテインメントをする上で、まず最初の壁となるのが「誰も自分に興味を持っていない」事実を自覚することだと思います。
完全に想像ですが、あの時9割以上のミーハー客が帰ってしまった中で「何となくもう少し見て行こう」と思った物好きが数人ないし1人くらいは残っていたんじゃないでしょうか。人気者以外を含むステージ全体を好きで見に来る人もいるはずですから。
だとしたら、そもそも彼らに興味を持ってくれる可能性がある人達は、最初からそこに残っている人達だけだったと考えるのが自然です。沢山の人に見てもらえば自分も興味を持ってもらえるかもしれないというのは幻想で、最終的に得られる結果は(演者の満足度を除けば)ほぼ変わらないはずです。
問題は、その人達に向けてめげずにパフォーマンスをやり切れるかどうか。ほとんどの客が無関心で帰ってしまうという絶望的な状況の中で、自分達のために残ってくれた誰かに向けて最高のパフォーマンスを届けようとできる者だけが、ステージの上で輝くことができます。
そして彼らはそれに挑戦したし、努力の成果をあの場で全力で表現できたはず。それに目を留めてくれる人がいれば、それは駆け出しの彼らにとっては成功と言うべきです。0人だとしても、ステージ上でやり切ったことに価値を見出し、次に繋げることはできます。
残酷な現実ですが、人前に立つプロになりたい者が乗り越えなければならない宿命でもあります。
自分との戦い
しかし、その紫之くん達の努力を指して、明星くんは「報われなかった」と表現してしまいました。
これを見るに、今の明星スバルは「沢山の人に見てもらってこそ意味がある」という大雑把な価値観でアイドル活動の意義を判断しているようです。ここに彼が成長すべき課題が眠っているとも感じられました。
学院の仕組みに関わらず「無関心の闇」とも言うべき地獄を乗り越えられなければ、どちらにせよアイドルとして一流になることはできません。上級生の中にも同じようにそういった地獄を乗り越えて、スターとしてステージに立っている人達が少なからずいるはずで、彼らからすれば下級生の文句は「甘え」とも取れるでしょう。
もちろん劣悪な環境は改善し、少しでも多くの生徒にチャンスが多い環境を作るべきではありますが、それが良くなかったから自分達が成功できるわけではない。環境のせいにしているうちはその程度の精神性ということでもありますから。彼らはまだまだこれから自分自身と戦わなければならないでしょう。
この価値観の成長に当たる部分は、『あんスタ』の物語の核心の1つではないかなと2話で感じました(想像ですが)そうだとしたら僕好みの物語になりそうで、この先が楽しみです。
紫之くん達のユニットにとって、この経験は大いなる挫折に他なりません。
でもこれはどこかで必ず気付いて乗り越えなければならない壁でもあり、それを早期に経験できた彼らはきっと強く大きくなっていくはず。
実際の現実ではこれを乗り越えられず折れる人の方が圧倒的に多いですが、これは物語である以上サクセスストーリーであってほしいし、そうであると信じたいですね。
終盤のライブシーンで彼の目から零れた涙は、彼の原点になるものと感じました。しかし、アニメでは客の存在関係なく「初めてのステージをやり切っている喜びの涙」とも取れなくない演出でしたので、彼がこの時どのような気持ちを抱いてステージに立っていたかが語られるのも楽しみですね。
おわりに
長々と書きました。
音楽を効果的に使った大胆な進行と幕引きの壮絶さにより、2話にして続きが気になるエピソードを創り上げたスピード感溢れる1回だったと思います。
僕は物書きですが、元々は役者をやっていたし最近は趣味で歌のステージに立っているので、人前に立って何かをすることへの関心や経験もそれなりに深いです。そういう価値観から、2話はなかなか語りたくなってしまう内容でした。楽しい。
『あんスタ』のアニメ感想は菱田監督を褒めに来たと言っていますが、ストーリーの本筋やキャラクター性はあくまで原作を尊重していると判断しています。なので急なシリアス展開が来たからと言って「出た菱田!」とはなっていません。
今作でミリしらの僕が菱田監督を名指しで褒めるとしたら、作品構成とストーリーの取捨選択技術、それに伴った映像の見せ方への気配りのみだと思うので、大元の内容について菱田監督どうこう言うのは筋違いと考えています。その点は今後も安心して頂きたいですね。
そもそもですね、菱田監督のやり口は、真綿でキャラの首を絞めるように徐々に外堀を埋めて行き、そのキャラ個人では最早どうしようもないような状況に追い込んでから、トドメとばかりに考え得る中で最も酷い事件を起こして心を折るという陰湿極まりないもの(※褒めている)なので、こういう分かりやすい設定で一思いにズドーン!と落とすのは彼の持ち味ではないです。お伝えしておきます。
『あんさんぶるスターズ!』も割と凄惨なことと不思議なことが起きる作品だとは聞いていますが、2話ではその片鱗が見えてきたと思いました。作品の方向性も、自分の中で少しずつ定まってきたような感覚があります。
2話の時点でキャラを落とすところまでを描き切ったということは、この作品の面白い部分はその方向にあると考えるのが自然。そして今後はもっと酷いことが起きるからこそ2話でこれだと思います。メンタル強めて見て行こうと思います。
今後とも楽しんで行きますので、また読みに来てもらえると嬉しいです。今回はこの辺りで。ありがとうございました。
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