7話です!
サブエピソードを2話挟んでの本編再開。
より夢ノ咲学院の事情や状況が飲み込めるように誂えられたところでTrickstarの話に戻って参りました。
謎多き生徒会長、天祥院英智(声に出して読みたい日本語)の活躍も楽しみだった今回。新たなスタート(?)を切る第7話の感想を書かせて頂きます。
よろしければお楽しみ下さい!
目次
序盤を総ざらい
Trickstarの劇的勝利から早1日。経過しない時間。
ということは4話から地続きになっているメインストーリーが展開されていると受け取っています。
今回の話の全容を鑑みるに、あの勝利からいきなり今回の話が展開されると流石に急展開すぎてついて行けないので、間に「マリオネット」を挟んだのは全体構成としても正解でしょう。
人間関係や心情変化が巻き起こすすれ違いが魅力だった5話6話の質感が、この7話を受け入れる心をしっかり作ってくれていたように感じます。このスッと入ってくる物語の丁寧さが僕が思う『あんスタ』の魅力。飛び抜けた派手さはないですが、だからこそ味わい深い。
たった1日されど1日。
Trickstarとそれをプロデュースしたあんずちゃんの校内人気はうなぎ登りに。
余談ですがM1グランプリで優勝した芸人は、その日中にスケジュールが埋まると聞いたことがあります。大きい成功を掴んだ人間を取り巻く環境は、当人達の理解が追い付かないほど目まぐるしく進展するものなのでしょう。
序盤では紅月で未だに素性不明だった神崎颯馬くんにいよいよ出番が。声優さんがちょっと声の芝居に慣れてない感じかな?と思って調べたら、舞台畑の方で『あんスタ』の舞台でも本人役で出演しているとのこと。人気出ちゃうなぁ(雅並感)
キャラのことは依然よく分かりませんが、蓮巳に絶大な信頼を寄せているのが伝わってきます。紅月に入ってこういうキャラになったのか、こういうキャラだから紅月にスカウトされたのかとても気になる。
紅月のメンバーはアイドル活動と人間関係の間に良い"割り切り"を持っている人達ばかりで、威圧的な雰囲気と裏腹に人の良さが伝わってくるのが良いですね。体制側の存在ではあるものの、全てを良しとしているわけでもない。彼らなりの行動を見せてくれるストーリーが見られたら良いなと思っています。
そしてお次はUNDEADの中で素性不明だった乙狩アドニスくん。
彼も見た目と裏腹に心優しい少年の様子。にも関わらずUNDEADで活動していて、あのルックスでいるのには何か理由があるのかも。名前的にハーフだったりするのかな?
UNDEADは朔間以外全員言うほど活躍していないので、方向性含めてまだまだ謎多き存在。今回の発見は日が照ってるところにいる朔間パイセンが、想像していた以上に色白だったことです。
さぁ開幕部分をザッと見たところで、いよいよ今回のメインとなる天祥院英智とTrickstarの面々の心情変化に触れていきましょう。
天祥院英智という存在
6話では非道に見える行いで、我々の心に痛烈な印象を残して行った天祥院英智さん。7話ではいよいよ彼が人として(?)会話する様子が描かれました。
今後のキーマンであろう彼について、現段階で見えたキャラクター性を紐解いて行こうと思います。
滲み出る絶対的自信
「単刀直入に述べよう。Trickstarは解散しなさい」
今回の肝であり今後の展開を左右されることになったこの台詞。上の立場の者からこういった理不尽を押し付けられる展開は決して珍しくありませんが、彼に至っては「しなさい」と諭すような言い方をしたのが印象的。
英智の言葉の本質は命令ではなく提案であり、「そのほうが良い方向に進む」という絶対的な自信がある様子。そしてそれを彼らが最終的に受け入れるところにまでその自信が及んでいなければ、こういった余裕のある言い方にはならないでしょう。
まして英智とTrickstarは実質初対面でこの話を切り出しているわけだから、尚更その自信は確かなもの。たった一言の語尾の違いですが、キャラを知る上で見過ごせないポイントだったと思います。
その後もTrickstarに対し、"狡猾"と言うに相応しい言葉選びと提案をぶつけていく英智。6話の感想でも少し触れましたが、その用意周到さ、使えるものは何でも使って自分の思い通りの未来を掴み取ろうとするしたたかさは、恐怖すら覚えさせるものです。
善とも悪とも言い切れない複雑さ
その割に「あんたのお金はキラキラしてない!」という言葉に対し「小銭や金塊、宝石で支払えば良いのかな…?」という意味不明な返しをナチュラルにできる天然さを発揮。「君は独特だね」だと?独特なのはお前の方だ。
どう考えてもスバルが「汚い金だ」と言いたいのは明らかだったのに、英智はそうは受け取っていないように見えました。
そう受け取った上で皮肉で返していれば完全な悪人なのですが、英智はそうではないようでした。これだけのしたたかさを持って計算で動いている彼が、自分の出したお金については「汚いものだ」という認識がない。僕にはこのズレが凄まじく異様に見えました。
つまり「天祥院英智は本質的に悪いことをしていると思っていない」ということではないでしょうか。
話ぶりから「自分が酷いことをしている」という自覚はあるようです。ただ、それらを総合して「悪いことをしている」とは思っていないように見えています。そして彼の発言や態度は常にまっすぐで、裏があるように見えません。
察するに彼は自身の持つ大きな目的を適えることを、善行だと思っている。「最終的にはハッピーエンド」という台詞もあったし、それは本心なのでしょう。
人間性が強すぎる善であるが故に、悪行すら良しとする。
目的達成の間に起きる出来事は「全て必要なこと」であり、必要以上の感情を傾けない、という考えのキャラクターと推察しました。
すごいお金持ちの家の生まれなので、育ちが良いのは間違いないと思います。加えて、命に関わるレベルの病気を抱えていることで「何かを為すために手段を選んでいられない」という気持ちが強くなりすぎてしまっているのかもしれません。
こういった一筋縄では善とも悪とも断じれない複雑さが彼のキャラ性の肝かもしれないと感じ、今後はそういう目を持って彼を見て行こうと思いました。
過酷な境遇 それ故の理想
個に重きを置き、不十分なシステムで運用されているアイドル業界を憂う英智。
5話で斎宮宗率いるValkyrieへの感想として「優れた個人に依存した集団には絶対に超えられない限界があり、最終的には平均的な個による優れた集団に上回られてしまう」と書いたのですが、ほとんど同じようなことを言っていたので笑ってしまった。
英智が掲げる理想に相反する人物が登場するストーリーを事前に展開したことで、彼の目的への執着心がより際立って見えるように全体構成が練られているのもポイント。
英智については、自身が学院で最も優れたアイドルの地位をほしいままにしながら、強大な個が活躍することを良しとしないという広い視野を持つ男として描かれています。
これはもちろん彼の境遇があってこそ辿り着いた視点だと思うし、だからこそ「強大な個に依存した集団」に思うところがあるのでしょう。
ですから彼にとってこの理想は「そちらの方が優れているから実現したい」と言うより「誰かが欠けても回る世界にしておくべきだ」と言う類のものだと感じています。
社会的なことを言えば、どんな人間であれ根本的に替えが利くということはないでしょうし、逆にどんな人間であれ欠けても誰かが代替できる仕組みが常に存在していると思います。いなくなって困る人はいませんが、いなくなれば惜しまれるのが世の中です。そこに完璧は存在しません。
そういう観点で見ると、彼の理想は前提から破綻している(必要ないもの)とも感じるのですが、才能に恵まれながらも10代にして余命幾ばくもない境遇に晒されている彼が、そういった存在意義にこだわった考えを持つのは自然だし当然です。
それをどうこう言うのは、もう少し先を見てからで良いんだろうな…と。
人間関係
英智は生徒会の妹系ワガママッ子の姫宮とその執事ポジにいる伏見、演劇部の変態 日々樹渉で結成された「fine」というユニットを結成中。6話で日々樹渉が英智と個人的な繋がりを匂わせていたことにも納得しました。
イタリア語で"終わり"を意味し音楽用語にもなっているフィーネから来ているようですが、英語読みにすると"元気"を意味するファインになってしまうというのも、病弱な彼が率いるユニットの名としてなかなか皮肉が効いている感じがします。
姫宮の好意を邪険にせずTrickstarと深い話をする際に彼を外に追い出したり、伏見にアイコンタクトでその意思を伝えたりと、メンバーとの間柄は深いようですが、その人間関係はまだまだ見えてこないというところ。
伏見が姫宮に仕えているのにも英智が一噛みありそう。
姫宮を外に追い出したのは単純に彼がいると話がややこしくなると思っていたのか、はたまた聞かせたくない理由が何かあるのかも気になります。
そもそも姫宮は一年生だし、渉は6話で別のユニット?(どうも演劇部の演目だったと聞いた)で出演していたので、マリオネットに登場したfineはメンバー構成が違ったのでしょうか。まだまだこの辺りは謎だらけですね。今後の展開に期待します。
揺れるTrickstar
続いて、英智の話から分かったTrickstarの新しい設定や、その反応から見えた彼らの感情について、1人ずつ断片的に触れていこうと思います。
悩むことさえ拒否したスバル
「あの明星の…」と言われていたので、親も何かしらの有名人だったことが明らかに。
友人には10円で買収される彼も「汚いと判断したお金には全くなびかない」ということが分かりました。1話で「闇が深そう」と書いた覚えがありますが、余計そんな気がしてきました。
Trickstarでたった1人、fineのステージに心から魅了されながらも、それに心を折られることなくTrickstarとして戦うことしか考えなかった彼。
選んだのではなく、最初から英智の提案が眼中になかったようです。"だからこそ"fineのステージを純粋に受け入れられたとも言えるし、逆に"にも関わらず"と言ってもいい。
仲間が英智の話を真に受け、fineのステージに圧倒され、決別を選ぼうとしていることをどう受け取るのでしょうか。自然にか"あえて"だったかは分かりませんが、悩むことさえ選択しなかった少年だからこそ「想像だにしていなかった」ダメージは計り知れません。
次回以降、彼がどうなっていくのか…恐くも楽しみです。
最も英智に影響されやすい北斗
なんか噂で聞いたんだけど、6話のあの棒読み王子お前だったらしいな?全然気付かなかったぞ。是非演劇方面でも自分の殻を破ってほしい。
両親が同業方面の大物というのは明らかになっていましたが、まさかの現役アイドル×女優のスーパーサラブレッドであることが判明。それであの棒読みはどうなんだ。お母さん悲しい。
だからこそ七光りを避けて自らの力で羽ばたこうと努力している彼でしたが、逆にその恵まれた境遇を最大限利用することを是としている英智の弁は、彼に大きな衝撃を与えたことでしょう。
現実の成功者も、何だかんだ言って幼い頃から没頭できる環境や家系・血筋であることが多いし、そうでなくとも潤沢な金銭的、物理的援助を親や親類から受けている方がほとんど。本当の意味で「自分の力だけでなり上がった」人は少数派だと思います。
ここまでの流れだけで考えると、両親は息子へのバックアップを惜しまない人達のようで、彼は最大級に恵まれています。実際Trickstarが紅月に勝てたのにも、彼の両親が優れた楽曲を用意してくれたからという側面があります。親の力を借りていないわけでは既にない現実もあるのです。
そういうことを踏まえると、彼は最も英智の存在に影響されやすいと言えるし、持っている考えも未熟です(※英智が歳不相応に達観しすぎているとも言う)故に畏怖していたところもあるのかもしれません。
「持つ者はその才や境遇を使い切ることこそが責務」という考えは真理ではあるものの、限度やバランスというものは各々違うはずです。
北斗には是非とも英智に流されることなく、最終的には彼らしい解答を見つけてほしいと思いました。
才能と感情の間にいる真
放送部だということが初めて(?)明かされました。
ニンジャの子と言い、Rabitsと言い、なかなかの個性派揃いな部活。体制主義であるドリフェスの裏方に回ることもあるようですし、普通の人はやりたがらないのかもしれません。
何故か1人だけ英智に滅茶苦茶酷いことを言われる苦労人。
4話で北斗にも悪口みたいなモノローグ入れられてたし色々かわいそう。しかも編入先候補のユニットにあの瀬名泉がいるというだけで、胸の辺りがゾワゾワする。
彼がグラビアモデルを挫折してしまった経緯は分かりませんが、英智の台詞や過去の流れを鑑みるとそのポテンシャルは確かだった様子。
英智は「才を使い切る」ことを旨としているので、自分が「したいこと」よりも「できること」を優先して、長所を活かせるユニットで活動することを勧めているようでした。感情的な理由を考慮に入れない英智からすれば、才能を自ら捨てるような行為を看過できないのでしょう。
いかにも「役立たず扱いされていることを真が快く思っていない」と言いたげな英智の弁でしたが、そもそも役立たず扱いされてないし、眼鏡で素顔を隠し冴えないキャラに徹しているのも、今の彼が望んでしていることだろうと思います。
そして、そういう半端な選択をした者にしか出せない個性もあるだろうし、持っている才能を必ずしもその理想通りに使うことが全てではないのが芸能界です。
今の彼では英智のシステマチックな正論に即座に抗うのは無理だと思いますが、紆余曲折を経て彼の心の目指す先が見えたら良いなと思います。
良くも悪くも達観した真緒
正直まだよく分かっていない衣更真緒くん。
生徒会傘下のユニットに属しながら体制を支持していない鬼龍がいる紅月への編入を英智が勧めていることが気がかりで、これは英智と鬼龍の間柄にも関係してきそうな空気感があります。
生徒会とTrickstarを両立している理由や目的が未だ謎なため、彼が英智の提案をどう受け止めているかも現時点では分かりません。
英智は彼のバランス感覚を評価しており、やはり生徒会と外部のユニットを掛け持つことの特異性、それを不手際なくこなせる行動力は他にはないポイントな様子。
しかしバランス感覚に優れているというのは、悪く言えば何かに特化できないということでもあります。
「こういう選択にも理がある」と冷静に言えてしまうことは、必ずしも人間関係でプラスばかりではありません。現実的に考えれば、余計な苦労を背負ってしまったり、本当の意味で他人と深い関係になることが難しいといった側面も彼にはあると思います。
それぞれが特化した存在であるTrickstarの中でも、彼の存在は異質であるし、まだまだ少し遠くにいるような感覚があります。それが今後どう物語に絡んでくるかも見守らせてもらいたいですね。
おわりに
7話は3週間ぶりとなる3Dライブがあることも含めて盛り沢山の内容。fineのライブについては、劇中で北斗くんがクールに解説してくれたので、今回の記事ではキャラのことを中心に書かせて頂きました。
圧倒的な存在感を出した天祥院英智は、自身率いるユニットのライブを持ってTrickstarの崩壊を確実なものとしました。やり方は決して汚いわけではなく、ただただ実直で純粋。それ故に"えげつない"と言えるでしょう。
物語上では悪役ですが、悪人ではなさそうな彼。
その意志の強さが伝わってしまっているからこそ、Trickstarの面々も並々ならぬものを受け取ってしまったのだと思います。
それを"Trickstarとして"乗り越えてくれる物語が、きっと今後で展開されると信じています。
8話からは波乱の幕開け…といったところでしょうか。
人間関係を軸として劇的な物語が見られそうで、ここからも楽しみです。
大分『あんスタ』自体について書けることも増えてきました。
今後とも核心に近いことが書ける感想を目指してしっかり見て行きますので、よろしくお願い致します!
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