やって参りました12話。
1クール目も佳境に差し掛かり、大きな区切りを迎えようとしています。
悲痛な過去が描かれた「エレメント」という物語を終え、帰ってきた現代。志半ばであるTrickstarの物語が再開です。
倒すべき悪であった生徒会長 天祥院英智にも果たすべき善なる理想、乗り越えてきた歴史があったことが語られ、ただの独裁を討つ勧善懲悪ではなくなった革命の物語。
その結末が描かれる12話は、この作品の方向性を明確にする重要なストーリーとなりました。
今回も書かせて頂きます。
よろしければお楽しみ下さい。
目次
因縁の対決 UNDEAD VS fine
OPもカットされ、怒涛のクライマックスが描かれた12話。頭から順番にこのストーリーを紐解いて行きましょう。
3話ぶりに返ってきた現代は、UNDEADのカッコいいポーズから幕を開けることとなりました。
今回は全体的にいつも以上にキラキラした動きや画面作りが特徴的。絵コンテはライブ演出も担当されているソエジマさんが描かれているようです。
「朔間くん、時代掛かった文言はやめにしたら?」
いきなり言ってはいけないことを言ったッー!
しかしこの台詞もエレメントのやり取りを見ていることで、独特の因縁感を醸すというもの。朔間の台詞からは相変わらず「同じ穴の狢である」と言った意図も読み取れます。
今回のストーリーはあくまでTrickstarを中心としたものであり、UNDEAD vs fineは話の軸の中では前座の範疇です。
ですがこの試合は、11話で大きな爪痕を残した英智と朔間の関係性と地続きになっていたり、旧五奇人――現三奇人の朔間と渉が、袂を分かち相対する試合でもあるなど、展開的には特別感を覚える組み合わせ。簡単に片付けて良いものではありません。
fineは同じく奇人である深海奏汰有する流星隊と既に刃を交えており、DDDにおける奇人同士のぶつかり合いはこれが初めてではありません。ですがアニメとして見ると「朔間零VS天祥院英智」「朔間零VS日々樹渉」の構図には特別なものを感じざるを得ませんね。
これらは「エレメント」を間に差し込んだことで得られた深まりであると言え、僕のような初見からすれば「9話までとの感じ方の違い」を序盤で一気に意識させてくれる展開となりました。
fineと英智と日々樹渉
「エレメント」で英智の身体の弱さが尋常ではないことが明確になったことにより、DDDでの猛者との連戦が英智に与えた負担もまた言葉以上のものであったことを感じられるようになりました。
姫宮の「会長が死んじゃうー!」というどこか浮いているような台詞も、決して大袈裟ではないかもしれないと受け入れることができ、9話と比較して英智を見守る気持ちが倍増したと言えます。
そんな中で、英智の限界を察知し綻びを埋めていくのは日々樹渉というエンターテイナーでした。Amazing!
11話でもつむぎと英智の歪んだやり取りにすっと言葉を挟ませて間を繋ぐなど、察しの良さや咄嗟の機転力を見せてくれた彼ですが、それはステージ上でも健在。流石、舞台役者としても大きな輝きを魅せる男と言ったところでしょうか。
体調面からトラブルやアクシデントに見舞われやすいfine(英智)にとって、どんな状況にも対応して一流のエンターテインメントを体現できる渉の存在は、ユニットの屋台骨としても過言ではないのかもしれません。
しかし2人の話しぶりから察するに、渉は英智との利害の一致からfineへの加入を選んでいるようです。
英智はこの戦いに勝つために。
渉は英智の過去を知る者として、彼の彩る悲喜劇を最も近くで見届けるために。
心が通じ合って完全な仲間になったとは言えないようです。
自分の体力不足を庇って疲弊している姫宮と伏見を気にかける素振りはあっても、渉がそこに含まれているようには見えませんでした。
最も、英智は「エレメント」で見せた渉へのクソデカ感情が消えているとは思えないので、感情面では彼と同じユニットを組むことを求めている可能性は否めませんが…。
「入院中、こうして君達とステージに立つのが夢だったんだ」
旧fineの解散後、新たに始まったfine。
あの悲劇を経ても、ユニット名を変えずにメンバー総入れ替えで臨んだ"再結成"。
改めて「共にステージに立ちたい」と願った仲間達と英智が、一体どのような絆を育んだのか。後に語られるところが見てみたいものです。
朔間零の策略 英智への認識
"延長戦"というワードをチラつかせながら、勝利したのはやはりfineです!
――とは言うものの、実力派ユニットによるfineへの一連の波状攻撃は、朔間の策略によるものでした。今回も決勝でTrickstarに勝たせることをゴールにしているのであれば、UNDEADの敗北もまた朔間の策略の内なのでしょう。
だから彼が全力を出して敗北したのか、ギリギリの戦いになるよう演出したのかはこの時点では不明瞭。UNDEADの実力値は未だにベールに包まれています。
ただし、fineは生徒会長率いるチームというだけでスコアのアドバンテージが発生するはず。そのfineと延長戦にもつれ込んだということは、少なくともUNDEADとfineの実力は互角以上であると捉えられます。
そして朔間は「エレメント」での発言から、英智の行動や思想にも何かと思うところがあるように感じられました。
朔間にとっての英智が完全な敵対者ではなく、憐憫や救済を向けるべき相手という認識があるとすれば「Trickstarとfineを対決させること」をベストな落としどころに設定するのにも頷けます(妄想ですが)
「あんたは…あんたは楽しくないのか?」
「…さぁ? どうだろうね」
何かを成し遂げるためだけにステージに立ち続けてきた英智に足りないものがあるとすれば、それはエンターテイナーとしての情熱でしょう。
時にその情熱は、大きな享楽に繋がるもの。
それを英智に感じさせられるとしたら、Trickstar以上の適任はいなかったと考えられます。
"人間"氷鷹北斗の後悔ない選択
いよいよ迎える決勝戦。
ですが、Trickstarとfineには解決しなければならない大きな問題が残っています。
それは言わずもがな、氷鷹北斗の存在です。
様々な環境から束縛を受け、1人だけTrickstarとして感情に殉じることを選べなかった北斗。しかし彼は3人のステージを見て、本当に自分がすべき選択が何なのか分からなくなっていました。
芸能界のサラブレッド、その血の定めに従い"fineの氷鷹北斗"として舞台に上がるのか、しがらみに捕われず自分を優先し"Trickstarの氷鷹北斗"に戻るのかは、この決勝戦の最も大きなポイントになってしまいました。
さぁでは、その北斗が選んだ自分自身の選択を見て行きましょう。
北斗が知り、英智が知らぬもの
fineとして新調された衣装を脱ぎ捨て、彼が身にまとっていたのはTrickstarの衣装。
北斗はTrickstarとして3人と共に歩むことを決めました。そうこなくっちゃな!
彼を決断させたのは、所属する演劇部の部長である日々樹渉から手渡された一通の手紙。彼が敬愛するおばあちゃんから書かれたものです。
かなり序盤で金平糖とおばあちゃんの話が出てきた記憶がありますが、ここに来てその設定が深みを持ってストーリーに絡んできました。
北斗の台詞通り、おばあちゃんからの手紙の内容は「ありふれた祖母から孫へのメッセージ」です(一時停止して読んだ)
特別なことは書いてありません。
ただ「お父さんと同じ道を選ぶのは大変でしょうが、自分が後悔しない選択を」と、一般人の目線に立った親族として、北斗の立場を慮る気持ちが綴られたそれだけの手紙。それが今の北斗にとっては最も必要な言葉だったのだと思います。
アイドルの父、女優の母を持つ存在ではなく、1人の人間として自分を見てくれるおばあちゃんの言葉だからこそ胸に刺さった。それに気付かされる形で、彼は自分の意志に従うことを選んだのです。
同様に縛られた存在として使命感を共有できる英智は、立場を利用することを拒否した北斗に対して心底「理解できない」と言った表情を向けました。
当然です。
恵まれた立場を利用しないのであれば、それはただの足枷にしかならない。メリットのない立場など「ない方がマシ」であり、彼らはそれを使うことでしか満足に動けない人間として在りました。
だからそれを放棄することは、英智の台詞通り「茨の道」を行くということ。病弱というハンデまで背負っている英智からすれば、それは絶対にあり得ない選択なのです。
けれど、その違いこそが北斗が実感していて、英智はまだ知らない"情熱"の正体なのでしょう。
北斗はTrickstarを通じて、それを知ることができました。
使命感とは異なった感情を、使命感よりも優先したいほどの"情熱"を、彼は友人と呼べる存在から得ることができたのです。
そして英智もまたそれを実感できるチャンスの只中にいると言って良い。
共にライブをするのが夢だったメンバーと共に、近しい境遇の人間が使命感以上に優先したいと思えたものを持つ相手と戦う。それは英智にとって、僥倖以外の何物でもありません。
その一端を感じ取ったからこそ、英智は北斗を自ら解放することを選んだのかもしれません。
謎の突っ込みどころ
文句なしに良いシーンでしたが、突っ込みどころも多かったのがこの北斗の復帰シーン。
勝手に自己完結しようとして迷走する北斗の真面目っぷりはもちろんのこと「おばあちゃんが味方なら、胸を張って戦える!」という台詞も実際はかなり謎。
手紙の内容を知り得る我々(視聴者)はまだ良いのですが、あの場に居合わせた人の気持ちになると「おばあちゃんの存在のデカさよりも聞きたいことがあるのではないか」という引っ掛かりがどうしても生まれてしまいます。
でもそのちょっとズレているところが彼の魅力だなと思えるシーンが随所にあり、今回もそんな感じで微笑ましさを覚える台詞でもあります。
他にも、この状況と今までの関係性でナチュラルに英智が同席しているのにも謎の笑いが込み上げてきますし、もっと前に立ち戻ると「なんであんな何てことない手紙を渉が預かっているのか」という疑問も噴出してきて、冷静に考えるとかなりカオスな現場だと言わざるを得ません。Amazing!!
そんなドタバタを経て、Trickstarとfineの決勝戦は理想的な形で幕を開けます。
復活 TrickstarのNEWライブ
決勝戦は個人戦×4&ユニット対決による5連戦(人数が噛み合わなかったらどうなるんだ…?)
キラキラエフェクトで高速展開される個人戦(4戦でなんと約1分半)からは、わずかながらも今後発展しそうな関係性が見られましたね。唐突な瀬名泉には笑う。
ユニットライブは(アニメでは)初披露となるTrickstarの新曲!同ユニットの2曲目披露はTrickstarが初となりました。
1曲目の「Rebellion Star」は他のユニットが独自性の強いステージ演出を行う中で、正統派で飾り気の薄い歌とダンスによるストレートな演出が映える曲でした。
今回は同様にカラフルな演出が印象的ではあるものの、360度で展開される奥行きのある振付とせり上がるステージによる立体演出により、一歩先に進んだことを思わせる派手さが感じられました。
宇宙に輝く星を感じさせる背景演出、謎ドローンで観客と一緒に写真を撮るなど、彼ららしいオリジナリティが加わって、本当の意味でTrickstarというユニットが完成したことを象徴するライブになっていたのではないでしょうか。
その「自分達が楽しいステージをしたい気持ち」と「観客を楽しませたい気持ち」が一体となって出来上がったTrickstarのライブは、大きな光り輝く星となり、英智の心を包んでいきます。
Trickstarが見せた希望と奇跡
「立ちなさい君達。ステージの幕が下りるまでは気高く振る舞うことだ」
全てを出し切ったTrickstarにまず英智が向けたこの言葉。常に万全ではない状態が訪れるリスクを抱える彼が言うからこそ重く感じられます。ですが、その顔は今までよりも幾何か晴れやかに見えます。
それは、英智がTrickstarを通して希望を見ることができたからでした。
生まれながらに過酷な運命を背負わされた英智は、取れる選択肢が非常に少なかったと言えます。
「人間には無限の可能性がある」
そんな使い古された物言いを彼に向けたなら、きっと鼻で笑われてしまうような人生を彼は歩んできたのです。
だから英智はその中でベストと思える選択を取り続けてきたはずです。自分が成し遂げられる最良の結末を目指して、彼は常に何かを、誰かを犠牲にして歩みを進めてきた。
「まぁ僕は…見てみたかったのかもね」
「…奇跡を」
英智にはそれしかなかったのです。
希望や夢や愛といったものを感じることはできず、奇跡など起きるはずもない。自分の論理的な行動のみが、正しい結果を生み出す。そう信じて行動し続けてきた。
しかし、心のどこかにはそういったものへの憧れがある。そして奇跡を体現できる人間がいるのなら、自分に取って変わるような結果を生み出すことができるのかもしれないとも考えた。
そんな気持ちの向く先を信じて、彼はDDDを開催した。
僕はこのシーンをそう受け取っています。そして彼の望むものをTrickstarは見事示して見せたのです。
「"愛"だけでアイドルにはなれないけれど…」
「"愛"が無ければその資格はない」
「僕はね、ただ単に…"アイドル"になりたかったんだ」
けれど残念ながらその資格は自分にはなかった。
自分は"アイドル"にはなれなかった。
英智は、自分が望んだものを手に入れることができない存在だと本気で思っているように感じられます。
でもそれを魅せてくれる人達がいるのなら、その"希望の星"に自分の希望を託してみても良い。奇跡を、信じてみても良い。
そうやってTrickstarを認め、最高に晴れやかな顔で自分の革命を終焉させることを選ぼうとしていました。
そんな英智の姿を見て、スバルは彼に声をかけるのです。
「俺も本当の意味でのアイドルになりたい…」
「夢ノ咲学院アイドル科の誰もがそうだ」
「あんたも俺達と同じじゃん!!」
誰もが本当のアイドルを目指している。
そして皆がその道半ばにいる。
英智がアイドルを目指す1人の人間なのだとしたら、独りだけ違うなんてことはない。
"アイドルになりたい"という気持ちを持っているのであれば、皇帝で生徒会長で大財閥の御曹司の英智だって、同じラインに並び立つ仲間なのだと。
「そうかな…?」
その感覚は英智が決して持ち合わせなかった"個人を尊重する"という価値観です。そしてそれは北斗の心を動かしたスバルの…Trickstarの持つ輝きその物でもある。
「――そうなのかもね」
この時のTrickstarの姿を通して、英智は初めて気付けたのでしょう。
人の気持ちには未来を変える力がある。
それは自分にだって当たり前に備わっているもので、それを自ら卑下しすぎる必要はなかったのだと。
「あぁ――きっと、そうなんだ」
自分の気持ちに正直になるという新たな選択肢を得た天祥院英智。また今までとは違った輝きを見せてくれることでしょう。
驚きと喜びの結果発表
感動のシーンの後は残酷な結果発表。
得票数ではわずかにfineが上回るという「今までの何!?」と言いたくなるような展開でしたが、ここでUNDEAD戦で提示された延長戦の詳細が明らかに。
細かいことですがあそこで一言「延長戦」という言葉が出てるかどうかで、このシーンの延長戦の受け入れられ方が全然違うと思うんですよね。唐突さを感じさせない秀逸な語り口もお見事です。
恐らく「ここまで強豪ユニットに勝利してきたfineが実力でTrickstarに敗北する」という事実を作ってしまうことが、作品の先の拡がりを阻害しかねないと考えられたのでしょう。どんな作品でも最強議論は明確な結果がないからこそ盛り上がるんですよ!
しかし英智の身体の状態及び今の気持ちを考慮し、fineは延長戦を辞退。結果としてTrickstarはDDDを優勝し、革命を成し遂げるに至りました!Amazing!!!
「彼女が壊れかけていた君達の絆を紡ぎ直し、ここまで導いたんだ」
まぁ俺達のあんずちゃんはリーダーだからな。
それより絆が壊れかけたのは99%貴方のせいだし、ここで"つむぎ"って言葉を使うのはズルいですよ。
出番を終え、役目を果たしたfineは静かにその場を退場しようとするも、スバルをそれを引き止めます。
「勝手にやり遂げた感じでどっか行かないで!」
君もナチュラルに煽るのやめなさい明星君。
今回は全体的に「良いシーンなのに急に面白いこと言うね」と思わされるところが多かった印象がありますね。なので僕の感想も今回はそういう感じにしています。
そんなスバルがかけた「あんたにはまだまだ教えてもらいたいことがある」という言葉に、英智は強く感銘を受けていました。
きっと英智には「酷いことをした」という自覚があるだけに、そんな自分を求めてくれる人がいるということが驚きでもあり喜びでもあったのでしょう。
何よりその相手が自分が見出した"奇跡"の体現者だったのだから、心中に様々な感情が駆け巡ったに違いありません。その中から最も色濃く表情に現れたのが"喜び"だったというのは、本当にそれが英智にとって救われた瞬間だったこの表れではないでしょうか。
「頑張りましたね」
ラストを飾るのはfineも呼び戻しての、ユニット総出による大合唱!
優勝したユニットがアンコールをやるという恒例を、その場に集った学院生全員で行うというのがDDDにおけるTrickstarの到達点。
昨日の敵は今日の友。
激闘を終えた皆が共に笑い合って1つのステージを作り上げる。それこそが彼らが成し遂げた夢ノ咲学院革命の1ページです。
奇しくも「個に依存せず優れた全を生み出す」ことを目的にしていた英智の目指した形に近しいものが、全く違う形で体現されている。それもまた、丹念に紡いできた関係性が生み出した物語と言えるでしょう。
そんな自分の理想に似て非なる形で皆が楽しそうに歌う中、独りだけ踏ん切りが付けられず見上げることしかできない天祥院英智。色々なことに気付いたとしても、即座に行動に移せるわけではないですからね。
そんな彼に、ひっそりと声をかける者がいました。
「歌わないんですか? 英智くん」
それはかつての友 青葉つむぎと、彼が新たに手に入れた仲間達でした。
半年前は想いと志を同じくした2人は、今は全く違うところで新しい関係を築いている。それでも、つむぎは英智のことを心配する気持ちを、忘れてはいなかったようです。
「頑張りましたね。お疲れ様でした」
英智はきっとつむぎに話しかける資格もないと思っていたし、話しかけられる資格もないと思っていたと思います。
でもつむぎはそんなことを全く意に介さないように、かつてと同じように横に並ぶ者として英智に言葉をかけたのです。
全てを終えて解放された英智が、きっと一番誰かから言われたかったのはこの純粋な労い。しかし、それを望める立場に彼はいませんでした。
だからこれは英智にとって青天の霹靂。
望むことすらしなかったであろう言葉。
ただ1人、革命家としての英智に寄り添い、皇帝となった英智の隣りにいなかったつむぎだからこそ、それをかけることができたのだと思います。
「…フフッ、君ってやつは」
"ない"と思っていた沢山のものが"ある"ことが分かった。
それは英智が努力してきたからこそ得られたものであるし、たとえ人を傷付ける一幕があったとしても、もたらした"正"の結果が否定されるわけではありません。
そういった良い部分について、英智が少しずつ自分自身に優しくなってくれればと、僕は思いました。
おわりに
半分以上英智の話しかしてねぇなこの記事。
でも「エレメント」の流れでこの話を見たら英智にどうしても目が行ってしまうと思うのです。アニメから入ったとしたらこれは自然な内容だと思っています。たぶん。
1クールの区切りとなる12話は、理想的な大団円。
1つの物語の終わりと新たな物語の始まりが描かれました。
ですがそれは、Trickstarが皇帝を打倒し革命を起こす物語としてだけではありません。天祥院英智にとっての救いと終焉、新たな始まりまでがしっかり内包されたエンディングです。
「エレメント」の内容が入ったことにより、DDD半ばにして見方が大きく変動。12話はどうしても英智寄りな目線になってしまうところがある中、Trickstarが英智に影響を与えている描写が上手く作用することで彼らの物語が全く薄まっていません。
結果として「誰も不幸にならない結末」が描き切られていると感じます。Trickstarが主人公なのは間違いないが、英智も主人公に見えるという理想的な采配。
英智が裏の主人公として描かれている…ではなく「英智に注目して見たら普通に英智が主人公に見える」という絵作りなのが凄いですね。視点によって純粋に見え方が変わるのです。
本筋において分からないところがなく、絶対悪を生み出さない作品全体のテーマがしっかり語られているし、最後の合唱からは「この作品は全員が主人公なんだ」という心意気も感じられ、心地良い終わりと始まりが描かれた1クール目ラストになったのではないでしょうか。
10話11話の挿入はかなり思い切った切り方だったと思いますが、確かにこの12話の全体をストレートに楽しもうと思うと、あのタイミングで「エレメント」が入ったのはベストだったと思えます。流石シリーズ構成に原作者である日日日先生が携わっているアニメ化ですね。
次回は「振り返りスペシャル」ということで総集編と予想していますが、本編で描かれなかった「一方その頃…」がショートショートで繋がっていくような展開が用いられるパターンもあります。
このブログでは総集編なら総集編記事を、未知の内容が多いなら普通の記事を書こうとは思っています。またお楽しみ頂けますと幸いです。
それでは今回はこの辺りで。
お読み頂きありがとうございました。
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