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【超感想】『ヒプノシスマイク(ヒプアニ)』第8話 仲間とは何か?2つのチーム 異なる在り方

2020年11月27日

 

引用元:https://hypnosismic-anime.com/story/?id=08

順調にディビジョンバトルの予選を勝ち抜いていく代表チームたち。しかし彼らを快く思わない者たちは、様々な角度から彼らの行動を妨害して回ります。

イケブクロとシンジュクは先んじて全ての敵対者をやり過ごし、残すはヨコハマとシブヤの戦いに。それぞれのディビジョンに根付いた曲者たちが、今回もまた2つのチームの行く手を阻むのです。

MTCとポッセの2組は、その謀略をどう乗り越えて歩みを進めるのか。その実情が描かれた第8話。

「Dead men tell no tales.」。
死人に口なし。死んだ者は物語を語らない。だからこそ、多くを知る者は排除するのが手っ取り早い。

ヨコハマに跋扈する社会悪と、混沌渦巻くシブヤに潜む邪悪。それらと相対する5人の物語を紐解いて参りましょう。

入間銃兎の受難

ヨコハマディビジョンで起こった連続資産家強盗事件。わずか3時間で4件の強盗を行うというその猟奇性から、一刻も早く解決しなければならない事件として警察で処理されたようでした。

MAD TRIGGER CREWの入間銃兎も、その捜査に駆り出された者の1人。翌日の朝からディビジョンバトルの予選が控えているにも関わらず、深夜から職務に当たらざるを得ない状況となりました。

しかしそれこそが姑息な者たちの仕掛けた謀略。銃兎を疎ましく思う先輩警官2名が彼を妨害するために、あえてこのタイミングで犯人を動かしたのです。

警察官の地位を利用して職権を悪用し、私利私欲を満たすために犯罪に手を染める。絶対にあってはならない愚行に走ってまで、先輩警官は銃兎の躍進が気に入らないようでした。

チーム自体が直接的に狙われていたイケブクロやシンジュクと違い、ヨコハマは"社会"を利用して間接的にチームを拘束しようとしたのが厄介で。銃兎も警察官という自分の立場を捨てることはできませんから、否応なくそのしがらみに捕らわれることになってしまいます。

だからこそディビジョンバトルに出場する方法はただ1つ。
その事件を早期決着させて、誰にも何にも文句を言わせない状況を作り出すことのみ。

目的に優劣をつけることなく、現状に文句を垂れて腐ることもなく。入間銃兎はただ虎視眈々と自らに及んだ責任を全て果たそうとする、そんな何事にもストイックな青年でした。

「左馬刻か?」
「なんだこんな時間に?」

何より、彼にはそうできるだけの準備がある。
どんな時にもベストな対応ができるように揃えてきた戦力が、有事の際には100%頼ることのできる仲間がいる。

「お前からかけてくるなんて珍しいじゃねぇか。俺になンか用か?」

その銃兎のわずかな焦りを悟ってか、彼を嘲笑うように対応したMTCのリーダー 碧棺左馬刻。彼もまた翌日の朝からディビジョンバトルを控える以上、普通に考えれば休息を取るべき状況なはずです。

にも関わらず、彼は事務室に1人鎮座し余裕の表情で電話を取りました。まるで銃兎からの電話を"待っていた"と言わんばかりの、堂々たる振る舞いです。

「あぁ。お前たちの力が借りたい」
「良いぜ。何でも言ってみろや」

その返事には一切の迷いも躊躇いもなく。銃兎をからかう素振りもなく。ここぞと言う時に全身全霊を持って仲間に報いようとする左馬刻の姿は、紛れもなく王の風格を感じさせるものでした。

かくしてMTCの3人による一夜を巡る戦いが、重々しく幕を開きます。

この3人でMAD TRIGGER CREW

左馬刻の人脈と理鶯の設備(あなたの電力はどこから?)による入念な捜査を行っても、一向に掴めない犯人の足取り。時間は刻一刻と過ぎて行き、別の可能性も模索しなければならない限界も近付いてきています。

ディビジョンバトルは3人1組のチームでの出場。欠員が出た場合は補充しなければなりません。もし銃兎がこのまま事件を解決できなかった場合、他の2人は別のメンバーを探す時間が必要です。

その刻限を悟った銃兎は彼らをディビジョンバトルに出場させることを優先し、自らを手を引こうと考えました。

それが当然の選択であると思っているかのような表情で、淡々とその後の行動指針を2人に示して行きました。

それを見た左馬刻が、納得するはずもありません。
煙草の煙を口から銃兎の顔に吹きかけ(!)、彼のその選択を真っ向から全否定してかかります。

「すまない左馬刻…だが…」
「ふざけんじゃねぇ何が"すまねぇ"だこの野郎」

それは一体、誰の何に対する謝罪なのだろう。左馬刻の頭の中には最初から「銃兎を外す」などという選択肢はない。だから左馬刻は入間銃兎が何に対して謝っているのか分からないし、分かろうとするはずもないのです。

「良いかこの3人でMAD TRIGGER CREWだ!」

だから、左馬刻は銃兎がそういう選択肢を頭に浮かべたこと自体が気に食わない。「チームから自分が外れても良い」などと考える、彼のその態度を看過するわけにはいかない。

「俺たちが最強だってことを世の中に嫌ってほど知らしめてやンだよ!」

そんな銃兎に心からの怒りを向け、自分たちが本当にすべきことを声を荒げて主張して行きます。チームを統べる者として、誰よりも心を許す仲間として、碧棺左馬刻は自らの仁義を最優先に貫き通しました。

「現有戦力で戦うのがベストと小官も考える。定員補充などあり得ない」

そして傍らにいる毒島メイソン理鶯は、左馬刻とは異なった角度から銃兎の決断を否定しました。

気持ちだけではどうにもならないこともある。けれどMTCは入間銃兎を欠くことができないのは、物理的な事情も当然含まれています。"戦力"として彼以上の存在がいないということもまた、銃兎でなければならない確固たる理由と言えるでしょう。

左馬刻と理鶯。それぞれが自分の領分から「お前が必要である」と語ったことが、銃兎の心を打ち抜き、解きほぐす結果を生みました。自分の考えが誤ったものであると彼が認識できたのは、仲間たちの言葉が打算ではなく本気の気持ちから来るものだと分かるからでしょう。

「…そうだな。俺たちにできないことはない…よな」

冷静に考えればそうすべきではないのかもしれない。普通なら乗り越えられない壁が目の前にあるのかもしれない。それでも、MAD TRIGGER CREWという"普通ではない"3人でなら乗り越えられる。そう思わせてくれる最高の仲間たち。

「だったら諦めんじゃねぇよ。まだ時間はあンだからよ」

事件解決を諦めさせてディビジョンバトルに引っ張ろうとは一切せず、あくまで銃兎に職務を全うさせた上で参戦させようとするのがハマのリーダー。

それぞれが異なった立場を持つからこそ、それぞれの気持ちを最大限尊重して共に立ち向かう。そんな心地良いやり取りこそが、彼らMTCの魅力なのです。

Bayside-Suicide

フリーフォトグラファーのアイリスの力添えを得て、犯人の情報へと辿り着くことに成功した3人。

これから大物をゲットできるというのに、わざわざしょぼいカツアゲを行った上に謎の負け惜しみを言い残して去って行った馬鹿の極み警察官の2人によって、犯人の尻尾を掴むことができたのです。奇しくも因縁の相手であるBuster Bros!!!に助けられるという皮肉も、直接対決を希望する彼らの熱量がもたらした奇跡でしょうか。

犯人すらも利用して、目の前の全てを自分たちの思い通りにしようとする2人の"警察官"。銃兎がヤクザとつるむことを快く思わなかった2人は、極悪犯罪者を裏から操り切り捨てる絶対に許されない存在でした。

そんな存在だからこそ、自分たちの行きすぎた行いによってボロを出す。少しでも欲を潜めておけば上手く行ったものを、全てを手にしようとしてしまうから最悪の相手に尻尾を掴まれる。

因果応報。社会の裏側に身を置く者にも、相応に果たすべきルールがある。それを下衆共に知らしめるために、MTCはヒプノシスマイクを手に取りました。

清濁併せ呑んだ先で

法の網越える 45 Rabbit
MTCを舐めない方がいい right?
味方につけた極道からゲリラ
先輩方
ゴクロウサマでした

銃兎を中心とした今回のヨコハマの楽曲は、彼ららしいアダルティな雰囲気が魅力的な「Bayside-Suicide」。

ただ耽美的な楽曲に仕上がっているわけではなく、内に秘めたる銃兎の気持ちを反映した強さを凝縮した音遣いとリリックが冴え渡るのがまた刺激的。表面的な勢いに頼らず、あえて"力"を美しさで表現しようとするその在り方は、正に真の強者の生き様その物です。

そして彼らが歌い上げるのはいつだって「MTCの絆」です。

どんな時も仲間のことを想い、仲間のために言葉を紡ぐ。チームをいつだって重んじていて、決して隠さずに"自分たち"を表現して見せつける。相手が誰であろうとどんな下衆であろうと関係ない。自分たちの一見不釣り合いな関係に異を唱える者がいるならば、全力を突きつけて相手に分からせる。

MAD TRIGGER CREW in the building.
大事なのは誰と誰が結び付くかではない。結び付いた先で"どう在るか"である。

それを今回も、しっかりと我々に感じさせてくれたと思います。

自分の目的を果たすために独り茨の道を行く入間銃兎には、時として孤独に苛まれる瞬間もあるでしょう。靄のかかった景色の中で、途方もない自身の先行きを案じることもあるはずです。

それでも彼が歩いて行く先には、必ず彼を信頼し必要としてくれる者たちがいる。自分が立ち止まってしまう時も、代わりに前を行き道標となってくれる仲間がいる。

誰かが歩みを止めようとも、他の2人は歩みを止めることはない。だからそれに振り落とされないよう、置いて行かれないよう、3人は常に自分たちを奮い立たせることができるのだと思います。

「あなたたちは一生私の奴隷です」

転ばされたならタダでは起きず。
ただ罰するなんてもったいないことはしない。

「私の出世のために、粉骨砕身の覚悟で尽くしてもらいましょう」

失いかけたもの以上の見返りを得てこそ、リスクを犯した意味がある。

悪しきを行うのではなく、悪しきを懐柔して"正義"を体現する。それが入間銃兎のやり方です。

ヨコハマ「MAD TRIGGER CREW」は一蓮托生。常にメンバー同士利用し利用され、打算も計算も全て気持ちで飲み込んで。切っても切れない強固な絆を武器に、ディビジョンバトル決勝へと歩みを進めます。

飴村乱数の想い

シブヤ「Fling Posse」の飴村乱数は、独り家のソファで眠りについているところを電話で叩き起こされました。

何でも帝統がギャンブルで大負けして人質に取られているとのこと。いい加減聞き飽きた定期報告とは言え、気にならないわけではありません。先日太郎丸から指摘されたチームのチグハグさを、予選のうちに解消しておきたいという気持ちはあるようです。

何より、乱数自身がもう少し仲間と近い距離になりたいと思っているのが見て取れます。独りになると寂しくなって本音が顔に出てしまう。彼もまた、そのような人間らしい弱さを持った青年でもありました。

何だかんだ言って付いて来てくれる幻太郎と共に帝統が捕らわれている闇カジノへと足を運んだ乱数。今回のチームの合流は、彼らの雰囲気にそぐわない薄暗い地下で実現することとなりました。

古典的に縄で縛られた帝統を救うために敵から持ち掛けられた方法は、ギャンブルで戦って勝つこと。勝てば帝統の借金をチャラにして彼を解放、負ければドライヤーで3人の喉を焼き切るという悪趣味極まりない拷問を提案してきます(脳みそがイッてる)

しかしこういった違法カジノはイカサマがつきもの。実際、帝統は「俺はあんなに負けるはずはねぇ」という理屈から、既に彼らのイカサマを疑ってかかっていた様子です。まぁ普通に考えて負け越しだけを理由にイカサマを疑うのは無理があるのだが、多分負けるまでは勝つ(?)帝統が言うんだからそうなんだろう。

素人である乱数と幻太郎ではそれに対応できるわけがありません。それを踏まえ、何度か彼らとやり合っている帝統が改めてリベンジマッチを挑むことに。

帝統の負け分とFling Posseの喉が賭けられた、某作品もびっくりのサイコロギャンブルのスタートです。

この局面でもまさかの…

ギャンブラーが仕掛けてきたギャンブルは、サイコロを2つ転がして出た目の数の合計を競うという極シンプルなもの。誰でも簡単にできるが故に技術的なイカサマも難しく、本来であれば単純な運勝負になりそうな内容でした。

しかしあらかじめ道具に細工がされているならば別の話。一見何てことないサイコロに見えても、やはり相手が用意したものを使うというのは分が悪いものです。

それでも何故かガチの勝負を挑んでしまうのがギャンブルのプロ有栖川帝統。もう少し何かを疑うとか調べるとか、サイコロの感触を確かめるとかすることがあるのではないか?何故すぐサイコロを投げてしまうのか。あえて言おう。馬鹿なのか?いや(ギャンブル)馬鹿だったわ。

案の定敵の術中にハマってしまい、絶対に1しか出ないサイコロを全力で振ってしまった帝統。このままでは敗北は確定的。万事休すと思われたその時、奇跡は起きました。

なんとサイコロの1つが1点のみで独立し、出目が3つになってしまったのです。

普通なら絶対にあり得ない光景ですが、サイコロに細工をしてしまっていたがために想像外の事象が成立し得たのでしょう。

そこに眠るほんの僅かな可能性を、有栖川帝統は掴んだということ。彼は紛れもなく、最も賭けの低いギャンブルに実力で(?)勝ってみせました流石は「負けるまでは勝つ男」!いや「負けなければ勝ち続ける男」?ん?

事前に乱数が「出目=上を向いた数字」と確認していたのも功を奏しました。言葉を操る彼らだからこそ直感的に確認できただろう保険が、しっかりと勝負に活かされました。てっきりサイコロが割れて7になるのかと思ったけどそんなことはなかったぜ。

一見口数が少なかった幻太郎も、サイコロに仕掛けがあると見抜いて帝統の口に物を押し込みます。サイコロの動きや向こうの仕草からイカサマを見抜いたのでしょう。

宣言通り彼らの挙動をしっかり"取材"してその"リアル"を自分の中に取り入れて行きました。ところで、サイコロを真っ二つに割るほど恐ろしい咬合力が帝統にあることを何故知っていたのですか?

ギャンブルにも負け、イカサマも言い逃れできないほど完璧に見抜かれたギャンブラーチーム。最終手段はもちろん(?)ヒプノシスマイクによる実力行使。しかしそれも相手が悪すぎた。

「やってやるぜ!俺たち3人、
Fling Posseが相手になってやるよ!」
「それじゃ!行ってみよー☆」

JACK POT!

JACKPOT JACKPOT
此処揃った3人 HOT SHOT
Wackには用ないから Holla
終わらせるよ
Game over

Fling Posseの3人が新たに奏でる1曲は「JACK POT!」。

今回の展開に則りギャンブルで意趣返し。陰鬱な夜の雰囲気という点では前回の曲と共通していますが、今回は遊びなく相手に突き付ける暴力性を孕んだ音楽へと様変わりです。

何事も楽しみ楽しませることを信条とするポッセの3人だからこそ、ルールを守らない道を外れた者には手厳しい。エンターテインメントを悪用し人を傷つけようとする門外漢には、笑顔のままに痛烈な報いを与えます。

ただイカサマという"詰まらない"方法論を否定し、そんなことに手を染めた"詰まらない"者たちを嘲笑する。彼らが求めるのは常に楽しいこと・面白いことであり、その過程にこそ真に熱い感情が宿ることを理解しています。

どちらかが勝って当然の勝負には、何の意義も宿らない。真っ向から勝負するからこそギャンブルは面白いし、嘘は嘘だとバラしてこそ真実となり得る。彼らは各々の矜持を曲げることなく、目の前の相手に強い語気で叩きつけていきます。

だから何をされようとALL OK。自分たちはより面白い方を取り、それで勝ってしまえば良いだけのこと。いつだってやることは変わらない。その上でイカサマも見抜いてしまえば、誰も文句のつけようがない完全なる勝利が生まれます。

スロットの出目はてんでバラバラ。
それでも3人揃って最高のFling Posse。

彼らはそれぞれが強個性のだからこそ、ここぞという時により強く大きくまとまることができるのです。そしてそれこそがきっと、彼らの胸の内に宿る信頼の形なのだと思います。

完膚なきまでに叩きのめされたギャンブラーチームは、地下施設で一体どんな最後を迎えたのでしょうか。

描写されていないということは、そういうことなのかもしれない。階段を上がりながら不敵に微笑む姿から、少しだけ滲ませる残虐性。そんな飴村乱数を中心とした自由人3人組は、ディビジョンバトルの決勝へと歩みを進めます。

おわりに

第8話はヨコハマとシブヤを同時に1話で流し切る、ジェットコースター的な展開が魅力の一回でした。

どちらもプライベートは友人関係と言えるものでありながら、同じ場所を目指して戦う仲間でもある2つのチーム。

そのメンバーの1人が窮地に立たされた時、彼らは一体どう動いて、どのような結末を描くのか。そんなMTCとポッセの築く信頼の差を対比的に感じながら、関係性を深く楽しむことができる回でもあったと思います。

これで4つのチームの予選が終了し、『ヒプアニ』中盤もここまでの様子。いよいよ終盤戦 ディビジョンバトルの本戦が始まります。

Buster Bros!!! VS MAD TRIGGER CREW
麻天狼 VS Fling Posse

この1st 2ndバトルを経ての決勝戦。
『ヒプマイ』史上最初の王座を決める戦いが描かれます。

ここからは今までと異なったシリアス展開の応酬かもしれません。感想記事もより熱のあるものにできるよう、刮目して見届けたいと思います。また後半戦の記事でお会い致しましょう。それでは。

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。二次元イケメンを好み、男性が活躍する作品を楽しむことが多い。言語化・解説の分かりやすさが評価を受け、現在はYouTubeをメインに様々な活動を行っている。

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