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【キンドラ】ここから『キンプリ』に触れるための映画『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』はミリしらの人にこそ観てほしい作品です

引用:『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』キービジュアル

『KING OF PRISM』シリーズ最新作『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』(※以下『キンドラ』)が全国の劇場にて公開されました!

本作は『KING OF PRISM』(※以下『キンプリ』)に初めて触れる人を意識して制作された、事前知識が一切不要のまま鑑賞できる映画作品です。

それと同時に『キンプリ』シリーズの約4年半ぶりとなる新作でもあり、作品の再始動を懸けて制作された瀬戸際の一作と銘打たれています。

この記事では本作が何故そんな事情の中で「初めての人向けである」と言えるのか。その詳細をできるだけ簡潔に解説していきます。作品に興味のある方は是非、鑑賞の後押しにしてください。

物語理解を一切必要としないショー特化

最新作『キンドラ』は、上映時間約80分をフルに活用して展開される「ライブ映画作品」です。

『キンプリ』シリーズはプリズムショーという架空のエンターテインメントショーに挑む少年たちの姿を描いた、いわゆる男性アイドル作品にくくられる作品群です。

歌とダンスにフィギュアスケートを足したような演出が特徴的で、劇中では各キャラクター達が1人1回以上のショーを行います。キャラの精神的成長などを表現する演出としてショーが扱われることが多いのが特徴です。

『キンドラ』は2019年放送のTVアニメシリーズ『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』で披露されたこのプリズムショー部分だけを繋ぎ合わせ、1作の映画に仕上げる形式を取った映画です。劇中で行われた大会「PRISM.1」を観客(視聴者)目線で楽しむことができる、イマーシブ(没入型)映像作品となっています。

こういった映画館で1つのライブを疑似体験する形式のアニメ作品は過去に『うたのプリンスさまっ』や『アイドリッシュセブン』などが展開しており、男性アイドル作品では1つの地位を確立しつつある制作スタイルです。

その中でも『キンドラ』は過去作品の映像を活用した総集編的な面がある作品なのですが、特に本作で『キンプリ』シリーズに初めて触れる鑑賞者を強く意識した演出で再構築されています。

その理由の1つとして、物語に関係する台詞やモノローグの一切が排除され、完全にショーを見せることに特化していることが挙げられます。

プリズムショーは前述の通りキャラの精神的成長を表現する意図を含むため、基本的にはショーの最中にも台詞が入りストーリーが進行します。しかし本作はそれらを完全にカットされており、ショーを楽しむのにストーリー理解を全く必要としません。

更にライブ映画でのファンサービスコーナーとなる楽曲間のMCも存在しないので、初見であっても「キャラを知らないからついていけない」カットが全く劇中に存在しないのです(※違う理由で鑑賞者の100%がついていけないシーンなどは存在します)

ここからキャラを知っていければ全く問題なし。ショーの内容を見て更に彼らのことを知りたくなった人は、TVシリーズを見ればその"背景"が分かります。既存ファンとは全く異なった作品体験さえ可能になるでしょう。羨ましい。

こういった理由から『キンドラ』は「『キンプリ』を全く知らない人がプリズムショーに触れる作品」として制作されたことが窺え、既存ファンではなく新規の方にこそ劇場に足を運んでほしい作品となっています。

生中継を特番視聴者視点でライトに鑑賞

他にも『キンドラ』の非常に特徴的な点として、鑑賞者たる我々を「TV特番の視聴者」として扱っていることが挙げられます。

他のライブ映画作品における鑑賞者は「ライブ会場にいる観客」とされていることがほとんどで、作品内におけるファンの当事者性が強く意識されています。

しかし『キンドラ』では大会の生中継がTVの特番で放送され、我々はそれを見ている視聴者という1つ遠い立場が想定されているのです。これはフィギュアスケートの大会をTVで眺めている感覚に近いと思ってもらえれば分かりやすいかと思います。

そのため作中ではMCパートの代わりになんとコマーシャルの時間があり、しっかり15秒/30秒/60秒で現実世界とリンクしたCMが用意されています。お部屋探しはSU〇〇O。このCMの中身については既存ファンも「???」となる部分なため、初見の方はあまり深く考える必要はありません。

他にも演出としてダイジェストと生放送が区別されていたり、TVの生放送ならではのテロップ・放送事故対応が入ったりと独特の空気感を作品全体が醸し出します。

更に特番総合ナレーション(※一部実況を含む)には立木文彦氏を起用。リアルの実況解説で最もよく声を聞く声優・ナレーターの1人である立木さんの声が流れれば、もう気持ちは一気にTVの前です。

こういった要素から初見の方には、TVの電源をつけて番組表を表示し「うーん、今日は見るものないから…たまにはフィギュアでも見るか」くらいのテンション感で気軽に本作(プリズムショー)を楽しんでもらうことができる。『キンドラ』はそんなライトな作風に仕上がってくれています。

初作から8年半が経過し過去作の数も多くなっている『キンプリ』シリーズですが、そういったハードルの高さを取り払い、作品の一番面白い部分であるプリズムショーをひとまず堪能してほしい。そんな気持ちでこの作品は創られていると思います。

是非ともこんな軽い気持ちで、キャラクター達のプリズムショーを眺めてみてあげてほしいです。

映画館では応援上映という発声可能上映での鑑賞となるケースが多いと思われますが、初見の方は年ごろの娘さんがTVの前で推しにワーキャー言っているのを、後ろで「こういうのが良いんだねぇ」と思いながら見ているお母様(お父様)の視点で静かにお楽しみ頂ければ大丈夫です。ビールを片手に雰囲気に浸るのも良いと思います。

注意

※1 映画館での飲酒は特別な場合を除いて禁止されています。応援グッズとしての持ち込みについては鑑賞劇場スタッフの指示に従ってください。
※2 お酒は20歳になってから

おわりに

以上が『KING OF PRISM -Dramatic PRISM.1-』が最新作でありながら、初見の方のための作品だと言うことができる理由です。

納得され、興味を持てた方は是非劇場に足を運んでみてください。他のライブ映画とは全く異なるシリーズ独自のスタイルであるステージ、プリズムショー。映画館で"体感"する価値のある雄大かつ美麗、ダイナミックでありながら繊細な心の動きを表現する珠玉のエンターテインメントがあなたを待っています。

最後に1つ、ここまでこの記事を読んでくれた方に『キンプリ』を愛する1人のファンとして伝えたいメッセージがあります。

『KING OF PRISM』はそもそも全くターゲットの異なるアニメのスピンオフとして始まったシリーズであり、初作の時点で一定の前提知識を必要とする映画でした。そして8年半前にその初作に触れた方の多くは、ほとんどその事実を知らずに映画館に足を運んでいたと思います。自分もその内の1人です。

つまり『キンプリ』は始まった時点から「初見で100%楽しめた人が非常に少ない映画」だったのです。

『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(初作)は「それでも楽しめる作品」として当時大きなムーブメントを生み、映画業界に応援上映という文化を定着させる1つの足掛かりを作り上げました。

『ONE PIECE FILM RED』の応援上映イベントにファンとスタッフが協力したことも話題に
(※1 『キンプリ』ファンのみを招いた『FILM RED』の応援上映を秘密裏に開催、その様子がリサーチされた)
(※2 『キンプリ』の応援上映前説を参考に『ONE PIECE』版の前説が作成され、協力という名目でクレジットに作品名等が記載された)

このシリーズにはそういった理解を乗り越えて心に直接訴えかけてくる"何か"があります。その"何か"に魅了された人が関連作を"後から"鑑賞し、より深みにハマることで連綿と支え続けてきた作品です。

「前作見ていないけど大丈夫かな?」「ここから見て楽しめるかな?」そう思う人は多いと思いますし、それは当然の不安だと思います。ですがこの作品を支えてきた人の大半が実は「途中から」の人達です。そう思うと、また鑑賞のハードルが少し低くなるのではないでしょうか。

『キンドラ』は8年半前のあの時と同じように、まだ『キンプリ』を知らない人達が「ここから始められる」作品です。厳しくも辛いものを乗り越えた先で、確実な幸せを届けてくれる。前向きで光と煌めきに満ち満ちたシリーズ、それがこの『KING OF PRISM』です。

『キンドラ』が1人でも多くの人に、あの日自分が受けたポジティブな衝撃を届けてくれることを心より祈っています。是非劇場に足をお運びください。

  • この記事を書いた人

はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。二次元イケメンを好み、男性が活躍する作品を楽しむことが多い。言語化・解説の分かりやすさが評価を受け、現在はYouTubeをメインに様々な活動を行っている。

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