アニメ 単話感想

『キンプリSSS』6話感想 ミナトの帰る場所 皆の帰る場所

2019年3月30日

 

引用元:https://kinpri.com/story/tv/detail.php?id=1000559

最新作劇場版&TVアニメシリーズ
『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』公開記念!

『キンプリSSS』『スッスッス』の感想記事。
最速上映参加の勢いで1話ずつガッツリと。
(※この話は2回目の鑑賞が執筆より早いです)

6話は身体も心もでっかい太平洋 鷹梁ミナト!

\ママー!/
でお馴染、何かと美味しそうなご飯(神作画)を劇場版から今作まで皆に届けてくれるなど家事万能、身体も心もビッグな頼れる兄貴分がここで登場!

大事な物語の中盤というだけでなく、第二章のトリという大役を務めることになった彼。作品としてはどうしても縁の下の力持ちという印象が強いですが、応援上映ではなかなか美味しいポイントを持っていたり、中の人が逆に絶大すぎる煌めきを放っていて目立ちまくりなおかげ(?)で決して他のキャラの陰に隠れているということもなく、むしろ話題には事欠かないイメージ。

お世辞にも人前に立つのが得意そうに見えず、他のキャラとは一線を画すミナトですが、だからこそ放てる煌めきの形というものがきっとあるはず。それを突き詰めた6話になりましたね。今回もしっかり書かせて頂きましょう!とびっきりのREADY SPARKING!

これまでの鷹梁ミナト

ご飯を作ってくれる人。
以外に何かあるのかと言うほど"目立った"活躍のなかった彼。

物語としては、完全に日常パートの会話進行役として台詞が用意されている部分がほとんどで、レオ君と並んで(ステージに立つ者として)何ができる人なのか全く分からないキャラクターでした。レオくんが衣装デザインを担っていることを考えると、唯一プリズムスタァに直接関係する動きを全く見せていなかったキャラだと言って良いでしょう。

キャラとしても、決して我の強いキャラとは言えず「裏で飯作ってる方が合っていると思うぞ」と思わず言ってしまいたくなるような一面も。1話で1人だけ真剣に飯食ってるシーンは絵面で思わず笑ってしまった(※意図は理解しています)一部、自身でそれを自覚しているような設定が垣間見える媒体がありましたが、アニメ本編ではここについて言及されたことはなかったはずです。

しかしながら、何もしていなかったかと言うとそうではない。『キンプラ』で「コウジ直伝カレー」をヒロを立ち直らせるほどのクオリティで完璧に再現したのを筆頭に、メインキャラの感情の動きに寄り添った働きを常にしてくれている、目立たないけどなくてはならない皆の支えになるキャラとして在りました。

そんな彼が「主人公」となって初めて語られる6話は、彼らしい優しさと包容力に振り切った、他のキャラには出せない魅力たっぷりのストーリーを語ります。

自営業&大家族の長男という宿命

前作の待ち受け写真で明らかになっていた大家族設定に加え、静岡で民宿を経営している一家の長男として生まれ育った過去を持つというのは今作が初出のはず。

実家が自営業の大家族というだけで大変なのに、お父さんは単身赴任を強いられるような仕事環境、祖父は一年のほとんどを海の上で過ごす漁師。一番年上のお兄ちゃんにかかる負担は尋常じゃなく大きいと言え、それがあの絶大な責任感の強さと包容力を持つに繋がっていると推定すると、相変わらず説得力のある語り口です。

2話の内容になりますが、カケルとユキ様がお風呂で喧嘩をしている時に、顔面に洗面器が飛んできても怒らず喧嘩を収めるように動いたのは「おぉ」となりましたよね。ああいう流れだとだいたい3人目も加わって大喧嘩になるのがセオリーなだけに、ナチュラルに平常心を維持しているミナトの姿はより印象的に映ったものです。創りが上手いなぁ。

下の誰からも慕われ、家族からも期待され、エーデルローズの皆のミナトさんは家族にとっても皆のミナト兄ちゃん。ああいう人間性だからどこに行ってもそうだと言うべきか、ああいう環境だからそうならざるを得なかったのかと言うべきか、微妙なラインですね。

「ミナトォ!そろそろじいちゃんの後継げ!」

特に印象的だったのは生カツオアタックしてきたおじいちゃん。極めて個人的な話で恐縮ですが、書いている僕自身が実家自営の長男という点でミナトと境遇を同じくしています。

その立場から言うと、家を継ぐということに一番期待をかけてくるのってやっぱり祖父母なんですね。昭和~平成は「家を継ぐ」ということへの価値観の過渡期ですから、恐らく多くの自営家庭で近い環境があると思います。

故にあのカツオのやり取りは「自営レベルの家業のしがらみ」を端的に表すのには特に重要だったと言え、そういう細かいところをしっかり押さえてくる辺りが流石菱田監督だと言わざるを得ません。

だからおじいちゃんのタワゴトは、昔から日常的に言われていたことなのだと思います。それはミナトにとって嬉しい期待でもあり、同時に「家」という価値観に自身を縛り付ける呪いであったのかもしれません。

「継ぐこと」によるキャラ対比

しかしながらミナトは幸か不幸か、実家に戻って家を継ぐという意志が固い少年でした。プリズムスタァになりたいという夢を捨てて帰るのではなく、最初からそもそも実家を継ぐことが彼の中で最優先事項であったように見えました。

エデロ年長組で対比するなら、「家を継がざるを得ないユキノジョウ」「継ぐことを強いられているカケル」と比較して「継ぐかどうか自由なのがミナト」です。4話の感想でカケルは「逃げようと思えば逃げられる」と書きましたが、それは最終的な結論の話。ミナトは逃げるとかではなくそもそも自由です。社会的なしがらみではないからです。

だからこそ自営を継ぐというのは「心情」というのがより大きな引っかかりになりますし、6話のポイントはそこにあったと言って良いでしょう。

そして自営の家業を持つという点でジョージが共通した背景を持っていることが5話で判明しており、5話6話と連続した話では自営を持つ者として「実家を継ぎたくないジョージ」「実家を継ぎたいミナト」の間で対比が行われていました(※ジョージはジョージで家業の技術も大事にしていたから偉い)

そして第二章という単位で見ると「継ぐことを社会的に強いられているものの納得しているカケル」「自営を継ぎたくないジョージ」「自営を継ぎたいミナト」で、一般企業単位で見る「家を継ぐ」という価値観の対比が行われており、作品内で無理矢理感なく多重対比構造が成立しているという実に見事な構成。映画とTVアニメシリーズ並行だからこそできる巧みな手法ですね。

「僕が家の港にならないと…誰が家を守るのさ」

母親に勝手にエーデルローズの願書を出されたミナトが独りごちたこの台詞は、彼の元来の優しさと責任感の強さが前面に現れたものでした。だからこそ、そんなミナトを見たお母さんは「ミナトにもっと広い世界で学んでほしい」と思ったし「自分を家族のために殺しすぎないでほしい」と思ったのでしょうね。

みはまコウジ が あらわれた

そんな彼とプリズムショーとの出会いは、妹のツバサちゃんに連れて行かれて見た神浜コウジのソロステージでした。タイガ姉の大空ちゃんがミーハーの追っかけ感全開だったことを考えると、ツバサちゃんはコウジのことガチで大好きって感じが出てて良かったですね。短い時間で工夫されています。

しかしコウジのソロステージだと…お前のソロ曲ってアコースティックなエモソングしかないはずでは…

気になればなるほどね!楽しくな~る♪

 

!?
(※音源は『レインボーライブ』のDVD特典用に用意されたものです。今となっては貴重!)

「コウジがソロでショーできる音源がこれしかなかったから仕方ない」って舞台挨拶とかで白々しく言われそう。初見さんに対しても…この曲のオリジナルを聴けるタイミングが4話のカケルのところに用意されているというのがミソ…構成の巧み…。

セル画ですが、このシーンはジェネリックプリズムジャンパー神浜コウジがアニメで跳ぶ初めての固有プリズムジャンプになりました(はちみつキッスッスッスのオリジナルを見たい人は『オーロラドリーム』を見よう!)

実際に食べたわけではないのに、まるでコウジに食事をさせられたかのような衝撃を受けるミナト。煌めきや愛情を味と満腹感に変換できる共感覚の持ち主でしょうか。山田さんの即席ラーメンを1人「美味い!」と言って食べ続けられるのもそのおかげ。

それを見たお母さんは勝手にエデロに願書を送るスーパー察しの良い女性。流石ミナトのお母さん、ママみがすごいですね。その後彼は言われるがままにエデロの門を叩き、そこで個人としてコウジに出会うのです。

「母が勝手に願書を送ってしまったみたいで…」
「受付は青山の方じゃないと…そうだ、お腹空いてない?
「えぇ?」
「丁度ご飯作ったところだったんだ!食べてってよ!」

「はい!ヒロとカヅキの大好物!お子様ランチプレート!エーデルローズスペシャル!」

ガチの不審者
(※この時点ではミナトはオバレを見たことがないのでは…?)

「お子様ランチって小学生までしか頼めないけど、大人になってからも食べたいよね!」

な、何言ってるんですか…?
いや気持ちは分かるんですよ…うん…?
な、何を言ってるんですか…?

どんどん都合のいいおもちゃに……いや面白いけど……。昔はこんな奴じゃなかった……どうなる神浜コウジ……(※今のコウジは今のコウジでもちろん普通に好きなキャラクターです!)

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はつ

『超感想エンタミア』運営者。男性。二次元イケメンを好み、男性が活躍する作品を楽しむことが多い。言語化・解説の分かりやすさが評価を受け、現在はYouTubeをメインに様々な活動を行っている。

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